雨天日誌

のんびりひとりごと。

11月29日、4頁目

寒い。ただひたすらに寒い。

空気が凍って細かいトゲにでも覆われてしまったのかと言うぐらい空気が痛い。

夏に突然のうだる様な暑さが来る時も、冬の突然の凍てつく寒さが来る時も、一つ前の季節に取り残されていたのかと置いてけぼりを食らった気持ちになる。誰がこんな季節に追いついて行くことが出来るのか。

 

 

ヨルシカの最近出たCDについて語ると言ってしまったが、厳密には語る、と言った大層なことは私には出来ない。だから思ったことをそのまま書き並べようと思う。

 

個人的に、2枚目のCDがある事によって1枚目のCDの主役(主役という言葉は実は適切ではなく、視点といった方が正しいのかもしれない)の男の子、エイミーの人間さが伝わってきた。きっと飾るタイプなのだろう、彼の書いた手紙は難しい言葉や本からの引用が多く、彼自身の元々持っているであろう感情がくるまって言葉の裏に隠れてしまっている様に感じた。それに対して2枚目のCDの主役の女の子、エルマは感情そのままを日記に書いているのが所々存在した。よく日記には、彼の後ろを黙ってついていくと言った表現があったがあくまでも彼に対して黙っていたのであって彼女自身は色々と考えていたように思えた。(そこまでは意識していないのかもしれないが、1枚目のCDに収録されている楽曲のpvに出てくるエルマは大人しい印象だ。しかし2枚目のCDが発売される前、先行して発表された楽曲のpvの女の子が気の強い、芯のある印象が強かった。だから1枚目のpvの女の子はエルマと同一人物じゃないのでは、と思ってしまった。これがエイミーから見たエルマと本来のエルマの描きわけだったら本当に凄いと思う)私はどちらかと言えば感情で動く方なのでエルマに共感をする事が多かった。

 

エイミーに共感した点は芸術をやった事のある人なら誰でも一度は持つであろう疑問、芸術は他人から評価されるように作っても良いのか、評価されなくても自分のセンスを信じて作っていれば評価されるものなのか、そもそも評価が必要なのかといったところだ。

中学から大学まで、私は美術に重きを置いてきた。中学、高校までは努力すれば絵はどんどん上達しデザインは考えれば考えるほどあとからみても納得のいく作品になった。大学は自分の好きな水彩絵具を用いた描画方法に直結する学科がなかった(日本画がそうだと言う人が多かったが断じて違う。私は水によって溶ける絵具の感触が好きで、それは膠海苔を使用して描く感触とは全く異なるものだった。言ってしまえば油絵に近いものでただ描くモチーフが写実的で似ていただけな話だ。因みに、水彩画についてちゃんと学ぶにはイギリス等に留学する必要がある事を聞いたが私には留学するお金も日常生活に困らないほどの英語のスキルもなかった)ので直接キャンバスに描くというスタイルから離れたテキスタイルを学んだ。

 

大学での制作活動は辛かった。頑張らなくても一捻りで素晴らしいアイディアを出してしまうような学生もいれば何故ここに来たんだと文句をつけたくなるくらい不真面目で美術にやる気のない学生もいた。他人は他人、自分は自分、と思っていても後者の人と同じ評価がつけられれば落ち込んだし、自身で納得した作品を仕上げてもつまらないだとか否定的な言葉を投げてくる教員に苦しめられたりもした。また、大学の教員は自らが現役の芸術家という方も多く自分の美意識と外れたというだけで良い作品でも一言も褒めずに貶す事もあった。

 

先生に気に入られる作品を作ればもちろん成績も上がる。成績が上がって実績があればその先にある就職活動も有利になる。でも、大学に来て自分の美意識を高めなくて良いのか。かと言って、高めたところで自分は芸術だけで生活していけるのか。そんな事を傍に考えながら制作をして、どれだけ考えてもアイディア出しの時点でOKの出ない課題もあり時間ばかりが過ぎていく時もあった。何が正解で何が不正解なのか分からずにもがき続けて息苦しい日々の方が多かった。特に大学の集大成である卒業制作は何度も挫折して疲弊して、最後はここまで通わせてくれた親や不真面目な学生に負けたくないという意地から無理矢理作り上げた。大学生活で最も出来が悪かったと思う。あんな駄作、卒業するに値しないと今でも思うし当時でも思った。その作品で卒業したのだからこれ以上惨めなことはないだろう。

結局、私は芸術を役立てる道には進まなかった。全く活かしてない訳でもなく、即戦力として役立てるテキスタイルの知識を活かした道にはしたが。筆をとることも、自らデザインをおこすことも今はしていない。

 

長くなってしまったが、そんな時代を直近に過ごしていたものだから彼の考えも理解出来た。彼は現実に存在していない分私ほど醜くもないし才能もある。存在したとしても才能はあるのだから同じ括りにしたら失礼だと思うけれど。

 

勢いで書き殴ってしまったものだから量がかさんでしまった。いつまで続くのかと思うだろうが、多分次の内容もこれに引き続くと思う。

出来損ないの小説書きのアイディアノートのような酷い有様だが、気になる方は読んでくれると嬉しい。

 

最近少しずつではあるが、閲覧してくれる方がちらほらいらっしゃって驚いている。立ち寄っていただきありがとうございます。